キンコン西野が開けたパンドラの箱
ここ数日のキンコン西野さんの「えんとつ町のプペル」の件は、昨今稀に見る盛り上がりをしていますね。
”無料”という見出し映えするワードでバズって、結果Amazonと楽天で書籍販売数1位になって、売名行為だ!炎上商法だ!と言われながらも結果として書籍は売れている。
無料行為に喜びをあげる人もいれば、現状のビジネスに対して影響がでると否定的な人もいるし、宣伝で無料にするのに何がいけないの?本人の自由。と行為を認める人もいるわけです。
結果として、肯定派と否定派の意見がばっつり分かれているところを見ると、炎上商法という言葉だけで片付けられないことが起きていると思うわけです。
そんな中、印象に残ったのは、山本一郎さんとはあちゅうさんのコメント。
西野さんが言うように「入り口を無料化する」は多かれ少なかれ誰もがやらないと、興味すら持ってもらえない。考えようによっては私のこのつぶやきだって「無料化」だ。昔とある作家さんは「文章を書くのが作家の仕事だからブログやツイッターで無料の文章を書く意味がわからない」
— はあちゅう (@ha_chu) 2017年1月20日
って言ってたから…
山本一郎さんの意見としては、行動は認めているものの一度っきりの手法で他に迷惑をかける結果になるから今後を心配している。
はあちゅうさんの意見としては、「無料化」は興味を持ってもらうためには必ず必要な行為だと言っている。
両者ともキンコン西野さんの書籍無料発言については同意しているわけですが、山本一郎さんが言っている「失うかもしれない信頼を取り戻せるかは知らん。」という発言がひっかかります。
実際、今回の騒動をうけて、社会貢献だからただで仕事しろだの、ネットが使えないからタダで本をくれと書店に押しかける輩までいるらしい。
某吉本芸人が「タダで絵本」問題で某社から「お前もタダで仕事して社会に貢献する事を覚えような」って連呼しだして、いまタダで納期9時間後の発注が着て、朝から電話で「てめえクリエイターに払うデザイン費ダンピング目的で社会貢献振りかざしてんじゃねえよ!」と大喧嘩したアカウントはこちらです
— ぱんかれ(pumpCurry) (@pcb) 2017年1月20日
これは一例としても、にわかマーケッターあたりが「この施策を真似て戦略を組みましょう」など言い出すことにになるので、ネット戦略に精通していない作者さんや出版社さんは可哀想。
いずれにしても西野さんは「パンドラの箱」を開けちゃったんですよ。
パンドラの箱って災いとかが入ってるけど、そもそも閉じ込めてたものだから、いずれ出て行くわけです。
どこまでが無料で、どこからが有料かを今まで業界の慣例として誰かが決めていたわけですが、時代に合ってないと感じた西野さんがそれを壊しちゃたんでしょうね。
どこで無料にするかはいろいろあって、西野さんがブログで書いているように、
<無料>のテレビで宣伝して<有料>でモノを買わしているわけやから、
<無料>のネットで宣伝して<有料>でモノ買わして何が悪いんだと。
あるある大事典とかマツコの番組とか、テレビをきっかけに商品がバカ売れする様が思い出されます。
いずれにしても”無料”の概念について、世の中が変容してきているので、改めてそれを表面化したという意味で今回の騒動はパンドラの箱を開けたと思うわけです。
これとは別に、弱者の戦略であるボトムアップ型の炎上商法を、有名人の西野さんがやったことが注目のポイントかと思っています。
つまりトップダウン型の宣伝手法が時代の終焉を迎えているのかなと。
これについてはまた次回。